Oasisお勧めCD(第32回)

音楽にこだわりのある、OasisならではのCD紹介コーナーです。

 

イベント・シーズンで忙しくなるこの時期、長い夜の暇つぶしに窮していた絶妙なタイミングで、オーナーの鈴木氏から薦められるままこのコーナー再開してみた。

「ディランの新譜良いねぇ‥」なんてカウンターで会話しながら‥。

今秋発売されたボブ・ディランの新作『モダン・タイムズ』が、なんと『欲望』(76年)以来30年振りにビルボート・チャートのbPになった。『タイム・アウト・オブ・マインド』(97年)『ラブ・アンド・セフト』(01年)に続く3部作の最終版として位置付けられる作品で、アメリカのルーツ音楽を旅したディランがロックンロール夜明け前にいる感じの作品となっている。全編オリジナルといっても明らかなカバーが見え隠れしているのもディランならではの趣向か。

マーティン・スコセッシのドキュメンタリーや、頭の中を覗いた?変な映画や、ブートレック・シリーズが続いていた中での充実した一品、ディランの音楽を聴くことがアメリカ音楽の縮図になっていく‥。

エリック・クラプトンも今秋、自身何度目かのルーツを振り返る再会を果たした。今回の相手はJ・J・ケイル。世話になった「コカイン」や「アフター・ミッドナイト」で有名な渋いオヤジと新作『ザ・ロード・トゥ・エスコンディード』を出した。

実を言うと、私は最近あまりクラプトンに興味を示さなくなってしまったのでオリジナル・アルバムが出ても買ったりしていない。が、ロバート・ジョンソンのトリビュートやBBキングとのコラボレートといったものには反応していた。やっぱり古いものでないと興味を示さなくなってしまったツマラナイおやじに自分自身がなってしまってきているのか?だからか、タイミングよく来日したコンサートも観ていない。前にもこのコーナーで書いたが、小汚くカッコよかった二―ル・ヤングの直後に見た、お洒落にビシッと決めていたクラプトンが何だかとてもかっこ悪くて‥。時代錯誤で、ノイジーに、アメリカ国家をウッドストック張りの演奏をしてくれたヤングに対し、「オーバー・ザ・レインボー」じゃ‥ノレナイよね。しかし今回の来日メンバー、オールマン・ブラザーズ・バンド(現役)のギターリストが加わっている。格闘技観たさに来ていてもいいけど、汚らしくロックしてくれたんじゃないかと少し後悔。


汚い系?ついでに、最後にオールマン・ブラザーズ・バンドの最大ヒット・アルバム『ブラザーズ・アンド・シスターズ』(73年)にも触れておく。クラプトンをも唸らせた看板ギターリスト、デュアン・オールマン、そしてベリー・オークリーを相次いでバイク事故で失いながらキャリア最大のヒットとなり、『フィルモア・イースト・ライブ』がジャム・バンドとしての最高傑作だとしたら、こちらはサザン・ロック史上の名作なのだろう。泥臭さは多少薄れ、カントリー色を増したものの緊張感あるアドリブ的な多彩さに故デュアンの息使いを感じてしまう。ヒット曲「ランブリン・マン」の後半ギターソロの掛け合い、インストナンバー「ジェシカ」でのディッキー・べッツそして弟グレック・オールマンの意気込みが感じられる作品です!  やっぱロックは汚くなくっちゃ???

 しかし、冒頭のモダン・タイムズと言えばやはりチャップリンの名作でしょう。
 急速に進んだオートメーション化に、機械に魂を奪われるな!と警鐘を鳴らした最後のサイレント作品(一部歌有りだが)。そして周りより一歩遅れて、大作「独裁者」でついにトーキーの世界に入り込む。

インストにしろバラードにしろ、パントマイムにしろトーキーにしろ、かっこいいメッセージが伝わってくるのがロックなのかな。まだロック誕生前の1930年代からチャーリーはロックしていた。生い立ちの中から苦労して成功を掴み、気のふれてしまった母親を思いながらもロリコンになってしまい、独裁者を作りアメリカから喝采を浴び、殺人狂時代を作りアメリカから追放され、そしてなにより笑いの中からラストで泣かせることもできる。1972年、アカデミー賞特別名誉賞受賞でおよそ20年ぶりにアメリカの土を踏んだにもかかわらず、赤狩りにあった愚痴も言わず、皆の知っている放浪紳士の原形をとどめない車椅子に乗った老人は一言「サンキュー」。司会のジャック・レモンが泣き出し会場中が感動の涙にくれたとき流れていたのが、モダン・タイムズのテーマ曲「スマイル」。マイケル・ジャクソンも私の大好きなリッキー・リー・ジョーンズもこの曲をカバーしています‥、これもロックなのか?どうでもいい事か‥。

  2006年11月25日
ライアー宮崎

Copyright(C)2000-2002 Cafe & Pop Bar Oasis.