Oasisお勧めCD(第30回)

音楽にこだわりのある、OasisならではのCD紹介コーナーです。

  
 

いつかはDVDで発売されるのだろう、とは思っていたらその日は突然やってきた。

その日は一日中テレビにかじりついて、やれ「CMが多すぎる」だの「日本人のゲストなんかの歌を放送するな」とか、友達と電話をかけあいながら、悪態をついたりしていながら観ていたものだった(かなりの苦情がそのテレビ局にも来たらしく、生放送の番組中、進行役の逸見さんが謝っていたのを憶えている)。まだ携帯電話が無かった頃、1985年7月13日のこと。その生番組をビデオに収録していたもののテープが歪んでしまって、とても今観れる状態にはなっていない。それが遂に4枚組のボックス・セット、収録時間10時間、になって昨日(2004年11月16日)発売された。今となっては、慈善と偽善が入り混じったような、遠い国エチオピアの飢餓を救うための大イベント「ライブ・エイド」の映像である。

今ここで、その日を目撃してなかった人のためにも、もう一度このDVDを観ながら、その日の凄さを超スピードで振り返りたい。

映像のオープニングはBBCニュースのエチオピア・レポートで始まる。このニュースでボブ・ゲルドフは地中海を渡り、惨状を目の当たりにする。そしてバンド・エイドと言うチャリティ・バンドを結成させる運びとなる。この思いが大西洋を超えて、USA・フォー・アフリカへと続く。この2本のビデオ・クリップが流れる。「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」「ウィ・アー・ザ・ワールド」である。

そして本編のライブ、まずはロンドンのウェンブリー・スタジアムで近衛隊の演奏と共にチャーチル、ダイアナ、ゲルドフが着席。一番手はベテラン・ブギー・バンド、ステイタス・クォーのご機嫌なナンバー「ロンキン・オール・オーバー・ザ・ワールド」で幕開け。2番手はポール・ウェラーのスタイル・カウンシル。続く発起人ボブ・ゲルドフ率いるブームタウン・ラッツの「哀愁のマンデイ」はやはり良い。アダム・アントの後には、「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」の共作者ミッジ・ユーロのウルトラヴォックス、バブル時代のBGMスパンダー・バレエへと続き、エルビス・コステロがビートルズの「愛こそはすべて」を熱唱!アイドル?ニック・カーショウに、お洒落なシャーデーが「ユア・ラブ・イズ・キング」で登場、もう見逃せません。この路線に続けとばかりにスティングがブランフォード・マルサリスを連れて「ロクサーヌ」、フィル・コリンズまで出てきて「見つめて欲しい」3人で今度は「見つめていたい」!!そして当時個人的に好きだった、ハワード・ジョーンズの後には、気障な男ブライアン・フェリーが自身の2曲目にジョン・レノンの「ジェラス・ガイ」を唄ってくれます。ポール・ヤングがお決まりの「エブリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」を唄った後に、アメリカ会場であるJFKスタジアムが呼ばれ、ブライアン・アダムスでUSAもスタートを切る。そしてディスク1のラストはU2!ボノは学生服が似合う?くらい若いし、2曲目の「バッド」では後半ストーンズの「ルビー・チューズデイ」を挿入しながら観客を煽る、素晴らしいパフォーマンスでそのカリスマ性を20年前から発揮してくれてます。

ディスク2はビーチ・ボーイズで始まり、マーク・ノッポラーのギターがかっこ良過ぎのダイアー・ストレイツにはスティングがゲスト・ボーカルで「マネー・フォー・ナッシン」を、ジョージ・ソログッドはエルモア・ジェイムス作の「マディソン・ブルース」を演ってくれてます(途中ゲストにシカゴ・ブルースのアルバート・コリンズ登場!)。更にディスク2は、ここからのブリティッシュ・ベテラン勢が貫禄のステージを繰り広げる。まずはクイーン、このボックス・セットの中で最多の6曲を披露、いつもの如くウエンブリーを一瞬でホームに変えてしまった!アメリカでもシンプル・マインズは健闘。そしてデビット・ボウイ、自分の子供と世界中の子供達に贈りますと「ヒーローズ」は決めすぎです。ジョーン・バエズが新しいウットストック世代へと「アメイジング・グレイス」を唄うと、大好きな姉御クリッシー・ハインド率いるプリテンターズが登場、なんとも言えない色気にゾクゾクしてしまいます。ロンドンではベテランが続いてザ・フーが出てきて2曲しか収録されていないものの、ピート・タウンジェントは相変わらず腕を振り回してます。つまらなくなった?ケニー・ロギンスは大ヒットの「フットルース」を、そして芸人いやスター・エルトンでこのディスクは終了します(キキ・ディーやジョージ・マイケルとにぎやかにデュエットしています)。

ディスク3はベッド・ミドラーの紹介で、売り出し中のマドンナがスタート(アメリカ側は紹介者をチェックするのも楽しい)。「ホリディ」の頃は私も彼女に夢中でした。そして、イギリス側はフィナーレが近づいて来ています。フレディとブライアンのクイーン・コンビが戻ってきて1曲。そしてポール・マッカートニーの登場!「レット・イット・ビー」を演ります。何と声が出ている!!生放送時にはマイク・トラブルで1番は口パクになってしまったのに…みんなで応援するかのように会場中で大合唱になったのが…なにはともあれ良かったのか??後半にはコーラスで、ボブ・ゲルドフ、ピート・タウンジェント、アリソン・モイエ、デビット・ボウイが加わり、そしてウエンブリー・スタジアムはフィナーレを迎えます。全員参加で「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」の大合唱、冒頭で、慈善と偽善がなんて書いてしまいましたが謝ります。やはり、この光景は美しいものです、素晴らしいものです、みんなの善意の結晶です。ではアメリカの方に戻りましょう。

まずはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの登場!私にとって、当時も今もナンバー1アメリカン・バンドは彼等です(大好き)。続くはブラック・サバス、オジー・オズボーンは相変わらず不気味な風体…。全体的にアメリカ側は音が良くない状態だけれども、中でも次のREOスピードワゴンはちょっと可哀想。2曲目の「ロール・ウィズ・ザ・チェンジス」なんかライブ受けする良い曲なんだけれど!そして、クロスビー・スティルス&ナッシュは「ティーチ・ユア・チルドレン」映画「小さな恋のメロディ」のエンディング曲として日本ではお馴染み。メタル・ファンはこの中にいるか?と叫びながらはジューダス・プリースト、2曲目には何と「グリーン・マナリシ」を演っている。この曲は私の大好きなフリートウッド・マックのナンバー、ピーター・グリーンのDNAがこんな所にも受け継がれています!そしてカーズ現る。故ベンジャミン・オールに世界一痩せているミュージシャン、リック・オケイセックがクールに決めてくれています。更にはニール・ヤングときたらもう休む間もなくなってしまう…「ダメージ・ダン」は良いのだけれど、どうせなら先程の3人と一緒に出てきて欲しかった。トンプソン・ツインズがマドンナ等とビートルズの「レヴォリューション」を、そしてロンドンからフィルおじさんが、コンコルドに乗ってやって来てお友達エリック・クラプトンのステージへ合流。ベース弾きはダック・ダンだね。「ホワイト・ルーム」から「レイラ」までやはり上手いのひと言。フィル・コリンズも唄った後は、デュラン・デュラン。こんなビック・ネームの後で大丈夫かな、とは思い過ごしで「ユニオン・オブ・ザ・スネイク」はじめ良いです。そしてディスク3の最後はパティ・ラベル。手前味噌ながら、このコーナーの第29回で書いた二人、ジョン・レノンとボブ・ディランのカバーを圧倒的な歌唱力で歌います。信じること、想像しつづけることで世界は変ると「イマジン」を、ディランが息子ジェイコブを生まれたのをきっかけに作った「いつまでも若く」を…偶然ではなく必然として歌い継がれる曲はあるのです。

そして最後のディスク4へ、まずは人気絶頂のホール&オーツがヒット曲「マンイーター」更にテンプスの二人が加わり「マイ・ガール」等で盛り上がってます。終盤になりソロで活躍中のミック・ジャガー登場。唇お化け対決でのティナ・ターナーとの「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」は恐い…。そしてセミ・ファイナル、ボブ・ディラン登場になります。(余談ですが、今週発表されたローリング・ストーン誌のロック歴代500選の中で、栄えある第1位にはディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」が選ばれていました)キース・リチャーズとロニー・ウッドを引き連れての「風に吹かれて」。ただただ貫禄です。

そして長い顔のライオネル・リッチーが3人と抱擁後、全員参加しての「ウィ・アー・ザ・ワールド」となります。

当日、16時間ほどのものが10時間程度に、それでもいろいろな都合で短縮された模様で、中にはロバート・プラントとジミー・ペイジなんかの貴重な映像も観れませんが、誰がどうのとか、音がどうのとか、ヤボな事は抜きにして、これを長時間の音楽ドキュメンタリーとして手元における幸せをかみ締めます。

        クリスマスの季節

        自分が楽しんでいるときにも

        窓の外には別の世界がある

        そこに溢れる唯一の水は

        身を切るような涙だけ

        その地になるクリスマスの鐘は

        悲惨な運命の響き

        それが自分でなく彼等だったことに感謝しなければ

        クリスマスの時期でも

        アフリカには雪は降らない

        雨も降らず 川は干しあがる

        クリスマスが近づいていることを

        彼等は知っているのだろうか

        飢える世界に食べ物を

        彼等に再びクリスマスが来ることを伝えるために

                              (歌詞抜粋)

  2004年11月21日
ライアー宮崎

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