Oasisお勧めCD(第25回)

音楽にこだわりのある、OasisならではのCD紹介コーナーです。

  
 

バー・オアシスと言えば、お酒やビールにこだわりをもっているほか、当然、音にもちょっとしたこだわりがあるのは常連さんにはお判りの事。それは70年代以降のアメリカン・ロック。今回は、そんな70年代(たぶん今にも)に強く影響を残した二人のキーパーソンについて書くことにします。
まず一人目はグラム・パーソンズ。ロック・ファンを自称している人なら、彼をご存知の方も多いとは思うが、『インターナショナル・サブマリン・バンド』で頭角を現し、フォーク・ロックやスペース・ロック、サイケと何でもやっていたスーパーグループ『バーズ』に、68年クリス・ヒルマンに誘われて加入。そしてカントリー・ロックの名盤「ロデオの恋人」を製作、G・パーソンズの名を決定づけた。しかし、この1枚でバーズを辞めてしまい、自らのバンド『フライング・ブリトウ・ブラザーズ』を盟友C・ヒルマンと結成。今回は、まずそのデビュー作となった「黄金の城」(69年)を紹介することにします。この作品によってカントリー・ロックが開花したといっても過言ではない作品です。

バンドの特徴は、ペダル・スティール・ギターを演るメンバーを正式加入させたことが斬新。が、なんと言っても彼の最大の功績は、終始一貫して不毛な時代のカントリーをロックと融合させてしまった点にある。

アルバムの1曲目「悪女の歌」は、ブリトウズのテーマ曲とも言えるナンバーでノリのよい南部テイストでスタート。いかにもと言うカントリー・ナンバーに続いて、個人的に大好きなアレサ・フランクリンの「ドゥ・ライト・ウーマン」をカントリーで演ってしまっているが、これがとても良い。盟友ヒルマンは、ブルーグラスなど根っからのカントリー好きで、中盤は彼の趣味が割と出ている感じ。6曲目の「ホイールズ」などは、いかにも中西部の白人専門の安酒場でBGMになっていそうな曲。美しいワルツの曲の後にはG・パーソンズの終盤の見せ場「ホット・ブリトウ♯1、♯2」と2曲続く。ISB時代セルフ・カバーを挿みながら、60年代のヒッピー・ソングを語りながらデビュー・アルバムは終わる。保守的(カントリー)な音楽に先端(ロック)の音楽を合わせたら、こんなんなりました、といったところが結果とても目新しくなった。

その翌年にも「ブリトウ・デラックス」というセカンド・アルバムを発表。聴きどころは幾つかあるが、なんといってもエンディング・ナンバーの「ワイルド・ホーシズ」。今だ、ローリング・ストーンズのライブで歌われつづけられるこの曲は、ルーツ志向を打ち出していた時期のストーンズがG・パーソンズに捧げたと言われるナンバー。この時期、ミックもキースも彼にはかなり影響を受けたらしい。グラム・パーソンズは、大ヒット連発というミュージシャンではなかったが、パーソンズ・フォロワーと言うべき人達がたくさんいるからすごい。エミルー・ハリスにシェリル・クロウ、カウボーイ・ジャンキーズに意外なところではエルビス・コステロ、そしてオルタナ・カントリー系には絶大な人気がありべック、アンクル・テュペロの連中やライアン・アダムスがいたウィスキー・タウンと言った人たち。彼等が参加しているトリビュート・アルバムも良いので機会があれば聴いてみて下さい。

 

さて、ここ2回程ニール・ヤングに少し触れていたので、バッファロー・スプリングフィールド以来のライバル、スティーブン・スティルスを、今回、このコーナーの2枚目として紹介したい。ライバルと書いてしまったが、過去の話で、現在のスティルスはブクブク太ってしまって新作と呼べるものも無く、現役度の高いN・ヤングとは比べる術も無いのが実情である。が、70年前後のスティルスは凄い。

実は個人的にも、ヤングとスティルスのソロ・アルバムをいくらか聴き比べた中で、どの作品が好きかと言われたらS・スティルスのデビュー作を挙げさせてもらう。なので今回の2枚目はズバリのタイトル名「スティーブン・スティルス」(71年)を紹介します。

オープニングは、シングルカットされた躍動感溢れるヒット曲「愛への賛歌」ではじまる。全体的にもCSN&Yの良い部分を抜粋したような構成で、アコースティック有り、ブルース有り、ゴスペル有り、ギター・バトル有り、重厚なコーラス有り、のバラエティ豊かな所は名作「デ・ジャブ」を凌ぐのではないかとも思われる(少し黒っぽいかな)。それもそのはず、この作品の参加ミュージシャンがとにかく凄い。S・スティルスが全盛期だったとはいえ、昔の仲間であるデビット・クロスビーにグラハム・ナッシュ、大物リンゴ・スターにブッカーT・ジョーンズやジョン・セバスチャン、リタ・クーリッジ、そしてなんと言っても驚く無かれ、エリック・クラプトンとジミ・ヘンドリックス!この二人が、1つの作品に参加しているのは今作のみ。4曲目のジミヘンのギター・ソロ、5曲目のスティルスとクラプトンの掛け合いを聴くだけでも買って損無し!今作が発売されたときには、ジミヘンが死んでしまっていたため彼に捧げられたアルバムとなっている。その後の「マナサス」(73年)なども2枚組の力作で良いが、まずは、「スティーブン・スティルス」を是非オアシスにも置いといてください。ちなみに、スティルスのギターの腕前もかなりのもので、10年程前に武道館で見たCS&Nのコンサートでもそれは如何なく発揮されていた(一人で演った「フォー・ホワッツ」は素晴らしかった)。

最後に、前にも書いたことがあるが、最近の音楽情報(流行には)はとても疎くなっている。『アウトキャスト』あたりも、シングル曲は大好きだが、グラミーを受賞したアルバムにはついていけないオヤジになってしまっている。なので、賞レースのこの時期になってもグラミーにはあまり興味が湧いてこなかった。が、アカデミー賞のほうは楽しみである。

昨年の今ごろは「ボーリング・フォー・コロンバイン」を周りに薦めていたら、見事ドキュメンタリー部門を受賞して日本でも話題となった。今年は、渡辺謙の影で私のお気に入り、ベニチオ・デル・トロが助演男優賞にノミネートされている。デル・トロは3年程前にも「トラフィック」という素晴らしい作品で、やはり助演男優賞を獲得している俳優である。ジョニー・デップと共演した「ラスベガスをやっつけろ」ではR・デ・ニーロのように役作りで20キロも太って、ブチ飛んだ役だったが、「トラフィック」のようなシリアスでちょっと陰を含んだ渋い役どころは、男ながらに惚れてしまう。ラストでブライアン・イーノの曲をバックに、少年野球を見ている彼の姿が、これまた良い!そんな彼がノミネートされた作品は今夏公開されるらしい。人は死ぬと21g軽くなると言う。今回紹介したうちの一人、グラム・パーソンズは26才で軽くなった。この頃のロック・ミュージシャンは皆30歳前で軽くなってしまった。ジミ・ヘンドリックス、デュアン・オールマン、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、ブライアン・ジョーンズ…。女子アナ定年30歳説より命懸けのジャンルだった。

                           2004年2月14日

   
ライアー宮崎


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