Oasisお勧めCD(第20回)

音楽にこだわりのある、OasisならではのCD紹介コーナーです。

  
 

 早いもので20回目となっている。2年以上前になるが、鈴木氏から、オアシスのホーム・ページを作ったので、そこで音楽を紹介してほしい、と頼まれたのがきっかけだったが、少々安請け合いしすぎた(笑)。最初の頃は月一くらいの割で、との事だったし、何気にこなしていたが、最近はかなり不定期な気まぐれでやらせて貰っている。又、私が常連さん達とあまり交わらないので、クレームに関しては全て鈴木氏の笑顔の中で消化されているのだろう。

 さて、区切りの回数でもあり、オアシスにも置いてあるCDなので、第1回目にも簡単に取り上げたREOスピードワゴンの大ヒット・アルバム「禁じられた夜」(80年)を書くことにする。

 アルバムのオープニングは、正にライブ・バンドで売り出していた彼等らしい曲「ドント・レット・ヒム・ゴー」で始まり、前半は本人達の言うところの、売れ筋になったハード・バラード「キープ・オン・ラビング・ユー」や「涙のレター」「テイク・イット・オン・ザ・ラン」といったシングルとして大ヒットした曲が並ぶ。まるで、箱根で山梨学院の往路優勝を狙うような布陣(旬なネタでないね)。復路B面においても「タフ・ガイ」やREO得意のブギー・スタイルで、センスの良いキャッチーなメロディーに乗せた楽曲が中心で、ライブとアルバム作りを上手く分けたスタイルで、67年のバンド結成以来、初の大成功を収めた作品となった。そして遂に81年のアルバム年間チャートでは、ジョンとヨーコの「ダブル・ファンタジー」を抑えて1位になっている。

 しかし、渋谷陽一のようなブリティッシュ偏見派からは、産業ロックなどと言われて日本ではあまり評価されなかった(だいたいマスメディアにのせて、自分の好き嫌いをプロの評論家が言うなんて、気分を害する音楽ファンがたくさん出てくるので止めてほしい。自分の機関紙の中だけにしてもらいたい)。

 バンド・プロフィールを掻い摘むと、中心人物の一人でヴォーカルのケビン・クローニン(苦労人?)は2作目「T.W.O」(72年)からの参加、この荒削りなロック・アルバムが個人的にはとても気に入っている(チャック・ベリーの「リトル・クイニー」のカバーや「ミュージック・マン」「ゴールデン・カントリー」等)。更に、初期のファンから絶大な人気を誇っている曲「キープ・プッシン」は「R.E.O.」(76年)の作品で、典型的なウエスト・コースト調。そして、年間250回にも及ぶコンサート・ツアーをベースにしたライブ盤で、人気の導火線に火がつき、今11作目でブレイクした。その後は「グッド・トラブル」(82年)「ホイールズ・アー・ターニン」(84年)といったヒット・アルバムを連発。

「ホイールズ・アー・ターニン」時のワールド・ツアーを武道館で観たが、オープニングはやはり「禁じられた夜」からの「ドント・レット・ヒム・ゴー」。2時間以上で2度目のアンコールも終わり、会場も明るくなり帰ろうとした瞬間、信じられないことにメンバー達が三度戻ってきてくれて「ジョニー・B・グッド」を演ってくれた。会場は大興奮になったのを今だ鮮明に覚えている。とても楽しかった!

 

 そして今回の2枚目。

4月のある日に鈴木氏から、あるバンドのCDを貸してほしいと頼まれた。それは最近全く聴いていなかったバンド、フーターズのライブ盤である。80年代のある時期とても大好きだったバンドで、懐かしさも手伝って書くことにする。

彼等はとても器用なバンドだと思う。メジャー・デビュー前はマッドネス等に影響され、スカをやっていたり、レゲイにも影響があったりと…NYの隣、地元フィリーではそれなりの人気を博していた。このフーターズのエピソードで簡略できないのが、やはりデビュー前のシンディー・ローパーとの出会い。ジャパニーズ・レストラン等で歌っていた彼女のデビューが決まり、フーターズの中心人物ロブ・ハイマンとエリック・バジリアンがこのレコーディングに参加。その中でロブとシンディーの共作により、名曲「タイム・アフター・タイム」が生まれた(ロブはバックVoも担当)。そのままグラミー賞を取ってしまったC・ローパーのバック・バンドになっても良かったのだろうが、彼等は自分達のバンドを選んだ。

メジャー・デビュー作「眠れぬ夜」(85年)は大成功だった。フィリー時代からの持ち歌「オール・ユー・ゾンビーズ」や「アンド・ウィ・ダンス」「デイ・バイ・デイ」等がヒットしフーターズの名を知らしめた。続いて2作目「ワン・ウェイ・ホーム」(87年)が素晴らしい作品だった。なので、これを是非推薦したい。1曲目の「サテライト」はエリック・バジリアンの良さの出ている、ノリの良いポップ・チューン。P・マッカートニーに憧れていたという彼は、どんな楽器も操ってしまう。2曲目の「カーラ・ウィズ・ア・K」はロブ・ハイマンの曲で、マンドリンやらアコーディオンといった音が飛び出しケイジャン風味のあるナンバーでこの作品一押し。続く3曲目はシングル・カットされた「ジョニー・B」で日本語バージョンも作られた(確かエリックは小さい頃、横須賀に住んでいたらしい)。他にも「ワシントン・デイ」といったメッセージ色のある曲や、全体を通してのイメージはフォーク色が強くなった感じ。伝統音楽を上手くアレンジしながら、いろいろなジャンルや楽器に挑戦している。なんでも消化できる懐の深さが、逆に器用貧乏の形を作ってしまったのかもしれない…。バンドは3作目以降、その後あまりパッとしない。

このアルバム発売後に、プロモーションを兼ねて1回だけのコンサートが五反田で行われた。料金はアメリカ並という事で、なんと2000円。「ジョニー・B」やサクラ・サクラを日本語で歌ってくれたり(やらないほうが良かったが)、リップ・サービスいっぱいのコンサートだった。アンコールではディラン先生の「ミスター・タンブリンマン」まで飛び出した。

       ヘイ・ミスター・フーターズ

       僕のために1曲やってくれよ

       眠たくないし、行く所も無いんだから

ヘイ・ミスター・フーターズ

       僕のために1曲やってくれよ

       機嫌の良い朝についていくから

その後もドームで行われたキリン・ギグでも彼等を観たし、ジグザグ・ツアーの来日公演も行った。アルバムでは最後に、ラルゴというフーターズ名義で無い作品で彼等の名前を見た。是非、もうひと華咲かせてもらいたいバンドである。

最後に、私のようなルーツ・ロック系が割と好きな人には追加推薦という事で…

なんとロジャー・ティリソンが32年ぶりに2枚目のアルバムを出した!

おっさん、まだやっていたのかよ!この人、ジェシ・エド・デイビス(ジョン・レノンのスタンド・バイ・ミーのギターソロで有名な人)の「ロックン・ロール・ジプシー」で有名。興味あるひとは聴いてみて下さい。

更には、18曲入りという意欲作を発表したフリートウッド・マックの「セイ・ユー・ウィル」には1曲目でノック・アウト、またジェイ・ホークスが初期バーズのようなフォークロックの新譜「レイニー・デイ・ミュージック」を出した。彼等の作品では「トゥモロウ・ザ・グリーン・グラス」(95年)以来に気に入りそうな感じ。気を抜いている間に続々と発売されてきた。では今夜はボズ・スキャッグスの新しいアルバムを聴いて寝るとするか…

                              2003年5月7日

   
ライアー宮崎


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