Oasisお勧めCD(第17回)

音楽にこだわりのある、OasisならではのCD紹介コーナーです。

今回、オアシスで飲んでいる時に、ある友人からリクエストされた人物を二人書く事にする。

  
 

まず一人目は、80年代に大活躍したブルース・ホーンズビー。
デビュー作が最大のヒット、「ザ・ウェイ・イット・イズ」(86年)でグラミーの新人賞を獲得。
当初は、飛ぶ鳥を落とす勢いだったヒューイ・ルイスの弟分の扱いでシーンに登場してきた。
ロック・バンドとしては線の細さが気になったが、メロディ・ラインのよさと、そのイメージに
反するような硬派な歌詞が受けて成功した。
すぐに来日も果たし、(ただあくまでも)ヒューイ・ルイスの前座としてのステージだった。
まだ見上げれば、屋根も当然無く、空の明るさが気になる後楽園球場での素晴らしい
ステージだった。
客のほとんどはヒューイ・ルイスを観に来ていたし、彼等が一発屋かどうか見極められない
時期でもあった。
割とアリーナの前方で観れたのも幸いしたが、ステージの中央に大男が現れ、小さく
見えてしまうようなアコーディオンを持って、ザ・レインジと名乗っていたバンドと一緒に、
かなり即興的な泥臭い演奏を開始した。
そんな事を思い出させる、ホーンズビー唯一のライブ・アルバム
「ヒア・カムズ・ザ・ノイズメーカー」(00年)がオアシスには置いてある。
2枚組のボリュームを感じないのはその出来栄えのせいか、重くない。

オープニングは、一聴してすぐにホーンズビーと判ってしまうピアノのイントロ。
80年代に流行ったウィンダム・ヒル系のピアニストかと思わせる繊細さなのだが、
バンドが演奏を開始すると、豊潤なバックグラウンドが聴き取れるようなクサさがたまらない。
バックのソロ・パートも随所に盛り込まれており、その形態はあくまでジャズ的な即興スタイルが
とられている。
選曲もデビュー当初の大ヒット曲から、ソロ名義になってからの全てのアルバム(6枚)から
選ばれており、他にもクラッシックからジャズ、トラッド、ミュージカル・ナンバーまで幅広く
演奏されている。
ただ、中心はやはり彼のピアノである。

個人的には2枚目(後半)がとても気に入っている。
グレイトフル・デットのツアーに参加した時、熱狂的なデット・へッズから絶賛されたその奏法は
「スパイダー・フィンガーズ」とあだ名され、その名を冠した曲からスタート。
ザ・レインジとのセカンド・アルバムから好きだった曲「ザ・ヴァリー・ロード」や、誰が聴いても
ホーンズビーのナンバーでドン・ヘンリーがグラミーを取った「エンド・オブ・ザ・イノセンス」、
ソロ作品で「サンフラワー・キャット」からメドレーでボブ・ディランの隠れた名曲
「悲しみは果てしなく」をディランがそうであるように、アレンジを変えてオリジナルのように
演奏している。
そしてこのライブ・アルバムのラスト・ナンバーには、オーディエンスが大満足して帰れるように、
彼等の名曲中の名曲「マンドリン・レイン」で幕を閉じる……
と思わせといて、(最後のヒッピー)デットのジェリー・ガルシアが死を見つめながら
作ったような曲「ブラック・マディー・ウォーター」を挿入。


         黒く濁った川に沿って
         自分のために歌いながら歩こう
         黒く濁った川に沿って
         自分だけの夢を見ながら歩こう


マンドリンの音色を残しながら、ブルース・ホーンズビーも孤高なミュージシャンに
なってしまうのだろうか…。

 

そして、今回取り上げるもう一人は言わずと知れたビリー・ジョエル。

彼の全盛期と言えば「ザ・ストレンジャー」(77年)〜「グラス・ハウス」(80年)なんだろうが、
その後も「イノセント・マン」(83年)や「リバー・オブ・ザ・ドリームス」(92年)等のヒット作もあり、
ファンそれぞれで代表作も分かれるところだと思う。

個人的に好きなものは、と人に聞かれると「ピアノ・マン」(73年)と迷わず答えていたが、
実は一番好きなビリーの作品は「ソングズ・イン・ジ・アティック」(81年)。
単にライブ・アルバム好きということもあるが…。

この作品は、ビリー・ジョエルとして、ソロ名義になってからのデビュー4作にスポットを当てた
ライブ作品(80年の全米ツアーからのもの)で、屋根裏部屋にしまってて普段気づきもしないもの、
を中心に選曲したとの事。
とにかく、いまからスタートするぞ!と言う感じで始まるオープニングの「マイアミ2017」からして
良い。
全体のトーンとしては、すごくモノトーンなイメージの作品ではあるが、バンドを中心に力強い
「ロサンゼルス紀行」や弾き語るように「シーズ・ガット・ア・ウェイ」が濃淡をつけて並び、
早弾きの「エブリバディ・ラブズ・ユー・ナウ」へ、息づかいの伝わるようなライブ・アルバムである。
そして、まるで心臓音の高鳴りのように「さよならハリウッド」が始まる。
「キャプテン・ジャック」の鮮度のよさもそのままである。
正に、この作品に収められている曲の数々は、成功への階段を上りだしたビリー・ジョエルの
若々しさを、真空パックに詰め込んだものである。
仮にそのパッケージを、屋根裏でなくオアシスという飲み屋で初めて開ける人がいたとしても、
彼の才能あふれる瑞々しさを感じてもらえる作品となっていると思う。
それが「ソングズ・イン・ジ・アティック」の魅力だと思う。



最後に、オアシスの鈴木氏のお気に入りTOTOが、3年半振りに新作を出した。
なんとカバー・アルバムで、ビートルズやスティービー・ワンダーといった
ロック・クラッシックばかりを演っている。
ラスト・ナンバーは、ブルース・ホーンズビーのところでも少し触れたディランの
「悲しみは果てしなく」。
ディランのかっこ良さにハマルと、もう現代(いま)には戻ってこられなくなりそうになる。
故マイク・ブルームフィールドやアル・クーパーと一緒に、ハイウエイ61を疾走する自分が
いつも鏡の向こうにある。

   
ライアー宮崎


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